香港新会社法
■概要
すべての香港法人が運営していくための法律根拠となる香港会社法(香港法第32章 公司条例)は、1932年に制定されました。その後も幾多の修正を経て80年以上の長きにわたり運用されましたが、今回大規模な改訂が行われ、「香港法第622章 新会社法」として、2014年3月に施行されました。
改訂の主な目的は、コーポレートガバナンスの強化と、監督当局による規制の質の改善、事業の促進、法令の現代化の四点となっています。新会社法の概要と、改訂後の主な変更点については下記をご参照ください。
● 新会社法の名称
香港法第622章「新《公司条例》」
● 施行開始日
2014年3月3日
● 構成
本則21部(合計921条)、別表11個に加え、 附則12条で構成される
● 旧会社法の運用
新会社法の施行後は「香港法第32章《公司(清盤及雑項条文》条例》」として
残り、法人の株式募集・清算・償還能力の欠如・取締役資格の取消等、法人
の運営に影響する重要な条項のみを残して全て削除される
■主な変更点
(1) 定款と社印
・ 書式:
従来は基本定款(Memorandum of Association)と通常定款(Articles of Association)の二部構成であったが、新法施行後は 全ての香港法人の基本定款が廃止され、通常定款のみが残る
・ 社印の準備・保管と使用:
それぞれの法人の任意で決定できる
・ 額面株式の廃止:
全ての香港法人の株式は、いずれも無額面株式に変わる・ 変更登記の要否:
不要。新会社法の施行以前に発行された全ての株式については いずれも自動的に無額面株式に変換される。
但し株式資本に変動(株式の割当や許可された株式資本の増減など)が生じた場合には、従来同様に申告の義務あり・ 資本剰余金勘定と資本償還準備金勘定:
いずれも株式資本の一部として組み入れられる
・ 設置義務:
少なくとも一名以上の取締役を自然人とする・ 移行期間:
新会社法の施行以前に設立された法人に関しては、施行日から六カ月間は移行期間として上記の義務履行が延長される・ 取締役の変更:
変更を行った日から15日以内に変更登記を行う・ 取締役任命契約:
任期が三年を超える契約の場合には、株主の承認が必要
・ 提出期限(非公開法人):
従来同様「報告書に記載の日付(毎年の設立記念日に相当)」から42日以内・ 提出期限(公開法人/保証有限責任法人):
– 会計年度が新法施行前に始まり施行日以後に終わる場合:
年次総会の日から42日以内
– 会計年度が新法施行日以後に始まる場合:
報告書に記載の日付※から42日以内
※公開法人…会計基準期間の終了から6ヶ月が経過した日付
保証有限責任法人…同 9ヶ月が経過した日付・ 罰則:期限を過ぎて提出した場合、割高な登記手数料を課される
・ 一部指定フォームの廃止:AR2、AR3
・ 特別措置:
中小規模の法人の場合、下記三点のうちいずれか二点に該当する場合は、財務諸表と取締役の報告書の作成を簡素化できる(a) 年間収入が1億香港ドルを超えないこと
(b) 資産総額が1億香港ドルを超えないこと
(c) 会計年度内に雇用した従業員数の平均が100名を超えないこと・ 作成の際には必要に応じ、専門家の意見を仰ぐことも可能
・ 提出方法:
郵送での提出には注意が必要
・ 受理の有無:
新法施行後においては、事情の如何(配送中の紛失など)にかかわらず、未着となった場合には受理しなかったものとみなされ、提出期限を過ぎても未着であれば、ペナルティが課されてしまう
・ 開催要否:
全株主の同意が得られた場合には不要<・ 実施期日:
会計基準期間に基づく・ 開催手段:
各種テクノロジーを用い、複数地点で同時に開催可能
・ 提出書類:
指定フォームに加え、次の書類のうちいずれか一点を提出<
(いずれも署名権者※の署名がされた認証謄本が必要。提出した後は一切返却されないので、注意が必要)
– 当該担保権の設定に関する書類、当該権利の根拠となる書類
– 債務の完済、当該担保権の設定解除の根拠となる書類・ 提出期限:
担保権設定の日から一ヶ月(従来の5週間から短縮)以内※署名権者になれる者:
法人取締役もしくは会社秘書役、法人から授権された代理人、当該担保権の権益を有する者のいずれか
・ 新フォームの採用:
新法施行後は、フォーム名の頭に「N」が付いたものを適用
(例:AR1(現)→NAR1(新))・ 移行期間:
新法施行の日から三ヶ月(一部フォームには、移行期間が比較的短いものや移行期間がないものあり)
※移行期間の短いフォーム例: M1(施行後8週間のみ)
※移行期間のないフォーム例: NC1、NC1G、DR1、M2、N12
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